Servitization(サービタイゼーション)という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。もっとも日本においては、「モノからコトへ」という言葉の方が馴染み深いかもしれません。
Servitizationという言葉は、1980年代に使われはじめました。それからしばらくの間、Servitizationは収益の拡大を目的として、製品の販売だけではなくメンテナンスなどの製品を補完する製造業による無形財としてのサービス提供を意味していました。
2000年代に入り、サービスの意味がたんなる無形財から「企業と顧客の共創価値を生み出す資源統合プロセス」と大きく変わりました。それに伴い、Servitizationも収益拡大を目的とした製品補完サービスではなく、「ステークホルダーとともに価値を享受するための活動」へと意味が変わりました。価値を享受するために、ステークホルダーがさまざまな資源を投入・統合します。この資源を価値に変換するプロセス上に製品や無形財としてのサービスが使用されます。
つまりServitizationとは、製品やサービスを媒介としてステークホルダーとともに試行錯誤しながら目的を達成する活動なのです。
先進国だけでなく新興国でも急速に経済や社会のサービス化が広まっています。残念ながらこの流れは止めることができません。ビジネスの持続可能性を高めるには、顧客や仕入先を取引先として対峙するのではなく、一緒に価値を享受する仲間として同じ目的を目指し一緒に進むことが求められます。Servitizationの意味が変化してきたことで、製造業だけではなくサービス業も含まれるようになりつつあります。